真夏に咲いた奇跡の恋花火
お誘いと秘め事
「やっぱ人気なのは定番の紺と白だよねー」



梅雨と期末テストが終わり、夏休みムードが漂い始めた月曜日の昼休み。

教室の隅で黙々と日誌を書いていると、前方から女子の話し声が聞こえてきた。



「ありさは何色にするの?」

「ピンク! でも赤も可愛いから迷ってる」



シャープペンを走らせたまま、少しだけ視線を上げて声の主を確認する。


サラサラの黒髪が特徴の千葉(ちば)さんと、茶色いウェーブヘアが特徴の山谷(やまや)さん。

全1年生の中で圧倒的ビジュアルだと噂されているクラスメイトだ。



「私にはどれが似合いそう?」

「んー、キャラ的にはピンク、顔立ち的には赤かな。華があるから濃い色もいけそう」



褒め言葉を交えて答えた後、千葉さんは髪の毛を耳にかけた。


遠くからでもわかる、透明感のある肌と長い手足。それに加え、美人系の整った顔立ち。

だからか、何気ないしぐさでも大人っぽく見える。



「やーん、華やかだなんて。私ってそんなに美人?」

「うん。黙ってればね」
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