真夏に咲いた奇跡の恋花火
へへへっと照れたように笑った手島くん。

その瞬間、強張っていた心が緩んで、じんわりと温かさが広がった。


あぁ、私はなんて失礼なことをしたんだろう。


タイプが違うグループに急遽参加することになった私を、無理していないか、苦労していないかって、気にかけてくれただけなのに。

雰囲気が似ているからと、1度でも平井くんと重ねた自分が恥ずかしい。


「ありがとう」と伝えた後、「ごめんなさい」と心の中で謝罪した。







急ぎ足で校舎を回ること15分。全フロアを確認し終えた。



「皆吉さん、ちょっとトイレ行ってきていい?」

「うん、いいよ。先に戻ってるね」



トイレに行った手島くんを見送り、チェックシートの感想欄にボールペンを走らせる。


目立った汚れやゴミはなく、綺麗に掃除されていました。窓の鍵のかけ忘れに注意! ……っと。

本当は細かく書きたいけど、手島くんの書くことがなくなるからこのくらいにしておくか。
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