真夏に咲いた奇跡の恋花火
スマホを置き、紙袋から浴衣を取り出した。


待ち合わせまで、あと2時間。
家のことを打ち明ける時間が刻一刻と迫ってきている。

最初は乃木くんだけの予定だったのだけど、遅かれ早かれバレるだろうと思い、みんなに話すことにしたのだ。


胸に手を当てて深呼吸をする。


ずっと隠していたから、驚かれるどころか、水くさいと返されてしまうかもしれない。

けど、この2週間、自分なりに交流して、たくさん人となりに触れてきたから。

大丈夫。みんなを信じよう。


確認を続けていると、補整用のタオルがないことに気づいた。

部屋を後にして1階へ下りる。



「心配するな。俺1人でも大丈夫だから」

「でも、それだとあなたが……」



リビングから言い合う声が聞こえて足を止めた。

出発前なのにやけに騒がしいな。



「どうしたの?」



ドアを開けると、両親がパッとこっちを向いた。

子供に聞かれたからか、どちらも気まずい表情を浮かべている。



「喧嘩?」

「ううん。ちょっと、ね」
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