真夏に咲いた奇跡の恋花火
優しさと愛に包まれて
夏祭り当日。



「お財布、ハンカチ、ティッシュ……」



ベッドの上に広げた小物を1つずつかごバッグに入れていく。

現在、お祭りに向けて持ち物の最終確認をしているところ。


全て入れ終え、巾着袋の紐を締めた。連絡が来ていないかスマホを手に取る。


告白現場に遭遇した次の日。乃木くんに会うのが怖くて、普段より少し早く登校した。

学校が始まってからも、なるべく顔を合わせないよう、勉強に没頭したり、ゆま達とおしゃべりしたり。

放課後も、チャイムが鳴った瞬間、真っ先に教室を出ていって。


そんな日々を繰り返していたら、いつの間にか夏休みに突入していた。

なので、今日までの数日間、一言も話していない。


はぁ、とため息を漏らす。


気まずい現場を見てしまったとはいえ、避け続けたのは感じ悪かったよね。

何も知らないあっちからしたら、訳もわからず避けられているんだもん。せめて挨拶はすべきだった。
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