真夏に咲いた奇跡の恋花火
君との美味なひととき
「ええっ⁉ 毎月見てたの⁉」



大勢の人々がひしめく土手で、乃木くんの驚く声が上がった。



「ちなみに最初に見たのはいつ?」

「中1。何月かまでは覚えてないけど、半袖着てたから夏頃かな」



そう答えて、父特製の焼きそばを口に運ぶ。


あの後、屋台に戻ったのだけど、『せっかく会えたんだし、一緒に花火観てきたら?』と、少しだけ時間をもらったのだ。

今は待機中で、お互いに好きになったきっかけを話している。



「マジかよ……。初めて告白されたの夏なんだけど」

「そうなの⁉ なんかごめん! でも、全部は見てないから! 高校は2回だけだし」

「それでも恥ずかしすぎるよ。皆吉さんのバカっ、覗き見魔っ」



またも悪口を吐くと、やけ食いするように焼きそばをかき込んだ。


バカ正直者の次は覗き見魔って。わざとじゃないのに酷いなぁ。

でも、私も、店番してるの昔から見てたよって言われたら、きっと同じ反応すると思う。バカのオンパレードにはなるかわからないけど。
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