能無し姫は執着系王太子殿下の寵妃になりまして。
プロローグ


 獣人が住まう国、カスティラン帝国。

 国の歴史は古く千年前、初代国王が獣人の女の子に恋をして娶り、妻の為に国を築き上げたのがはじまった小さな国は今では帝国というくらいまで大きくなったのだ。

 そして、現在帝国を治めているのはオオカミの獣人・アベラルド皇帝だ。その皇帝を隣で支えるのは、隣国出身であり偉大な治癒魔法士のうさぎの獣人であるセシール皇后殿下だ。
 二人の間には四人の王子、王女がいる。
 第一皇女であり母に似た優れた治癒魔法が使えて父にそっくりのオオカミの獣人のオリヴィア様、第一皇子で聖魔法が使えてピンクと金色のグラデーションの短髪で天パがありふわふわしているウサギの獣人であるルーカス様。

 それから産まれた双子で第二皇女のアナベル様と第二皇子のアール様は元気いっぱいに育った。アール様は母に次ぐ魔力を持ち聖魔法と治癒魔法が使えた。それはそれは皆喜んだ。だから双子の姉であるアナベル様も、と期待を抱いたが彼女には魔力を持ち合わせていなかったのだ……。

 そんなアナベルを皆は無能姫、能無し姫と呼んだ――そんな皇女様が他国の王子様に愛されて幸せになるお話。
 



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