能無し姫は執着系王太子殿下の寵妃になりまして。



「ようこそ、皇女殿下。私、ドニュン領の領主をしておりますアレックス・ドニュンでございます。妻のエリザベスです」


 ドニュン領主夫妻は、穏やかな方で私たちを快く迎えてくれた。領主館では丁寧なおもてなしを受け、宮殿では入ったことがない温泉というものに入った。
 疲労回復などの効能があるらしい。美味しい食事に気持ちの良い温泉に浸かることができた私たちは、翌日にはこの領地を出た。

 ドニュン領から馬車で半日走り、ユラニケリー港へと到着する。ユラニケリーでは、お昼の食事をすると今まで馬車を走らせてくれた御者に感謝を伝え、船へと乗り込んだ。


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