能無し姫は執着系王太子殿下の寵妃になりまして。
「ホワホワしているのに意志はしっかり持っていて凛としている。そういうところだ。はぁ……まぁ、父として正直に話すとアナベルがお嫁に行くのは寂しいのだよ」
「はぁ……そうですか」
そう言えば、オリヴィア姉様が婚約が決まった時もそんなこと言っていた気がする。まぁ、今まで私は降嫁先が決まっていなかったからっていうのもあると思うけど……
「アナベルはいつも冷静だよね」
「そんなことはありません。姫としては当然です。それにグロッサ王国は住みやすい国と聞いていますし」
「そうだな、アナベルが無理をしていないのなら私は何もいうことはない。そうだ、アナベルが好きなパティシエールのお菓子を取り寄せたんだ。一緒に食べないかい?」
「えっ、本当ですか? 食べたいですっ」
この話の後、お父様はグロッサ王国に返事をすると私は玉座の間で正式な命を受けてそれに了承をしたのだった。