夕陽を映すあなたの瞳
「はい。ささみとちくわの親子丼と豚肉の生姜焼き。それから茶碗蒸しとお味噌汁」

テーブルに並べると、昴はええー?!と驚く。

「あんなスカスカの冷蔵庫で、こんなに作ったのか?」
「うん。親子丼は、玉ねぎがなかったから代わりにちくわを入れて。やたらとささみがたくさんあったから、茶碗蒸しもささみで。あとかまぼこも」
「すげー。俺、いつも肉は、焼肉のタレで焼くしか出来なくて。こんなにちゃんとした料理になるんだな」
「ちゃんとしてはないけどね。なんちゃって料理」
「いやー、凄いよ。ねえ、もう食べてもいい?」

おあずけされた子どものように聞いてくる昴に、心は笑いながら頷く。

「どうぞ」
「いただきます!」

パクパクと勢い良く食べ始めた昴は、うまい!と目を輝かせる。

(ふふふ、ほんとに子どもみたい)

心が思わず頬を緩めると、久住も早く食べなよと、昴に言われる。

「はーい、いただきます」
「この親子丼、うまいな!俺、玉ねぎよりこっちの方がいい」
「ささみがあっさりしてるから、ちくわの風味がいいよね」
「うん。玉ねぎ気にしなくていいし」
「さては伊吹くん、玉ねぎ嫌いだね?」
「あ、バレた?」
「あはは!バレバレだよ」

誰かと一緒に食べるご飯っていいな、と心は、嬉しそうな昴を見て思った。
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