夕陽を映すあなたの瞳
第十四章 ショッピング
「こんにちは。悪いね、せっかくの休みの日に」
「ううん。こちらこそ、迎えに来てくれてありがとう」

次のオフの日。
心は昴に頼まれて、サラと三人で買い物に行くことになった。

カフェでばったり会った数日後、昴から電話があり、もしよければサラの買い物に付き添ってもらえないかと聞かれたのだ。

平日なら大丈夫だけど、と答えると、サラも昴も問題ないと日程を合わせてくれた。

昴は車で心のマンションに迎えに来てくれ、そこから二人でサラの滞在しているマンスリーマンションに向かう。

「それで、サラの買い物って?彼女、何を買いたいの?」

助手席の心は、運転席の昴にそれとなく聞いてみる。

「うん、それなんだけどね。サラとは数年前、アメリカ出張で訪問した取引先の会社で知り合ったんだ。今彼女、勤めている会社の日本のグループ企業に出向しててね。主にうちの会社との取り引きがメインで、2ヶ月ほどマンスリーマンションに住むことになってる。まだこっちに来て半月なんだけど、どうやら彼女、ホームシックみたいで…」
「え、そうなんだ…。それは寂しいね」

心は声のトーンを落として言う。

「ほら、私達の高校、国際高校だったから、2年生の時にみんな3週間海外にホームステイしたでしょ?」
「あー、うん。そうだったな」
「私もあの時、毎日英語ばっかり話すのがストレスで。最初の1週間は辛かったのを覚えてる。ホストファミリーと出かけるようになってからは楽しめたけどね」

うんうんと、昴も頷く。

「だから、サラの気持ち分かるなあ。しかもサラはお仕事で来てるんだもんね。色々大変だろうな」
「ああ。打ち合わせで会う度に、だんだん元気がなくなってる気がする。仲の良い友達もまだ出来ないみたいで。それでこの間、何か困ってることある?って聞いてみたんだ。そしたら、買い物に行きたいけど、どこに行けばいいのか分からないって。洋服とか?って聞いたら、違う、日用品って言うんだ」

日用品?と、心は首をかしげる。

「そう。ほら、マンスリーマンションって、必要最低限の家具があるだけで、なんだか無機質な感じだろ?それでこう、なんて言うか、部屋のインテリアとか…。毎日気分が上がるような、落ち着く空間にしたいんだって」
「なるほどー、分かった。それなら、オススメのショッピングモールがあるよ」
「ほんと?じゃあそこに連れて行こう!」

昴の表情がパッと明るくなった。
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