夕陽を映すあなたの瞳【書籍化】
 8月に入り、サラが日本での出向を終え、アメリカに帰る日がやって来た。

 心は仕事の休みをもらい、空港まで見送りに行く。
 昴も仕事を抜け出し、空港に来ていた。

 搭乗手続きを終えたサラは、二人に向き合う。

 「Well, thank you for everything. Coco, Subaru…」

 口を開いたものの、そのあとは言葉にならない。

 心はサラを抱きしめた。

 「I never forget you, Sarah」

 サラは涙をこぼしながら頷く。

 「Take care and keep in touch. OK?」

 Yesとサラは何度も頷き、心の背中をギュッと抱きしめる。

 心も堪えきれず、涙をこぼしながらサラとただひたすら頷き合う。

 そしてゆっくり身体を離し、二人で照れたように笑い合った。

 「またね、Sarah」
 「マタネ、Coco and Subaru」
 「ああ、また会おう。Sarah」
 
 最後は輝くような笑顔で、サラは心と昴に大きく手を振って去って行った。
< 98 / 140 >

この作品をシェア

pagetop