世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
『……であります。まだ入社したばかりですが、今後はわが社の衛生陶器製造技術をもとに、新たな革新的な事業を展開を模索しTONTON株式会社を日本のみならず、世界中でより認知してもらえる世界規模のプロジェクトも企画できればと思っております』

熱気を纏った宴会場の中は、新入社員100名に先輩社員300名さらに、上役も参加しており会場内には500名ほどが参加している。その視線を一身に集めながら、堂々と挨拶をしている世界は新入社員とはとてもおもえない立ち振る舞いで圧倒的なカリスマ性を放っている。

(すごい……)

「へぇ、キャンキャン鳴くだけかと思ってが、ちゃんと挨拶できるんだな……梅子?」

「あ……びっくりしちゃって……」

『……まだまだ至らない点ばかりでございます。どうぞご指導ご鞭撻を何卒宜しくお願い申し上げます』

世界が丁寧にお辞儀をすると盛大な拍手が起こり、その拍手を背に舞台袖から世界が階段を降りてくる。世界と入れ替わりで司会である経理の課長がマイク片手に舞台袖から現れると、すぐに明るい声が聞こえてくる。

『それでは、お飲み物の準備が整いましたのでご自由にご歓談くださいませ。時間は六十分でそのあとは自由解散と致します』

すぐにざわざわと騒がしくなった会場で殿村が私の肩を叩く。

「梅子、シャンパンでいい?」

「あ、うん。あっちの隅っこのテーブルで待ってるね」

「了解」

殿村の背を見送りながら私は会場の端っこのテーブルに移動する。つい目が勝手に世界の姿を探すが人が多すぎて分からない。

すぐ後ろの新入社員とおぼしきグループから「それなー」「ワンチャンあると信じたい」「これ、すこ」といった会話が聞こえてくる。

(え?ワンチャン、すこ?……どういう意味でどういう場面で使うのよ……)

最近の若者言葉なんて全然分からない。世界は私と一緒にいるとき、特に今どきの若者言葉をつかわないが、もしかして年上の私に気を遣ってくれているのだろうか。

(ってそんなこと考えたって、今日の夜で契約解除なんだから……)
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