劣等生と魔法のキス
こんな落ちこぼれの私なんかを、そうミアは言おうとしたものの、それよりも先にヴァイオレットが言う。

「あの、どんな可愛い女の子に告白されても断るリーマスがミアを誘うなんて!これは絶対にミアのことが好きなのよ!」

ヴァイオレットは目を輝かせ、ミアの方を見る。ミアはポカンと口を開け、「ないでしょ、絶対」と首を横に振った。

「パーティーに一緒に行こうって言ったのは、リーマスのことを何とも思っていない私だから、選ぼうって思ったんじゃないの?変に勘違いされなさそう、みたいな」

ミアはそう否定したものの、ヴァイオレットは「違うわよ、絶対!」と譲らない。そして目を輝かせたまま、ヴァイオレットはミアに囁く。

「ほら、今もあなたのこと見てるよ?」

ヴァイオレットの背後にミアが目を向けると、遠くからリーマスがこちらを見ていた。彼も友達と話しているところだというのに、チラチラとこちらを見ている。そして、視線が絡み合った。

(あっ……)

目が合った、そうミアが自覚した刹那にリーマスはパチンと片目を閉じてウインクを送ってくる。まるでアイドルのファンサのようだ。イケメンと呼ばれる顔立ちのため、その仕草がよく似合っている。
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