タロくんとハナちゃん
次第に朝日が出てきて、外が明るくなってきた。

カーテンから朝日が漏れて、部屋が少し明るくなる。
寝顔がはっきり見えてきた。

「ヤバ…ほんっと、クソ可愛いんだけど/////」
フフ…と微笑み、部屋内を見渡す。

ローテーブルに目が行く。
メモ用紙があり、思わず取って見る。

華子の可愛らしい字が並んでいた。

・起きたらすぐに、タロくんにメッセージを入れる
・スマホの充電器をバッグに入れる
・財布、タロくんのマンションの鍵がバッグに入ってるかもう一度確認。スマホもちゃんのバッグに入れる
・タロくんに、迷惑をかけないように過ごす!!

忘れないようにメモが書かれていた。
最後の文章は、赤ペンでラインも引かれていて“重要”と書かれていた。

「フフ…迷惑、かけていいのに(笑)」

華子相手なら、何をされてもいい。
何をされても、嬉しいから━━━━━━

一番嫌なのは、華子が自分に興味を持ってくれなくなること。

それが一番、辛く苦しい。
興味を失われるくらいなら、死んだ方がマシだ。


しばらくすると、太朗のスマホが鳴り響いた。
確認すると“理一郎(りいちろう)”の文字。

窓側に移動し、声を潜めて電話に出た。

「ん」
『タロ、まだ?』

「まだ」
『イチャイチャは、マンションでやれよ』

「違うよ!まだ起きてないの!」
『は?ハナ、まだなの?』

「まだ」
『はぁー、起こせよ』

「起こせるわけないじゃん!」
『なんで?』

「だって、気持ち良さそうに寝るし」
『………タロ、一旦切るわ』

ブチッと切れ、すぐに華子のスマホが鳴り出した。
「は!?理一郎、あいつ!」

慌てて、電話を切ろうとする太朗。

しかし華子がごそごそ動き出し、サイドテーブルに置かれていたスマホを眠気眼で取った。

太朗の存在には気づかないまま、電話に出た。
「ん…はい…」
『ハナ!!』

電話口から、理一郎の声が漏れて聞こえてくる。
「理一郎くん?」
『早く起きろ!!今、タロのマンション前で待ってんだから!』

「あ…ご、ごめんなさい…」
『早く、タロと一緒に来い!』
一方的に言われ、ブチッと切られた。

漸く華子は、ゆっくり起き上がる。

「ハナちゃん!」

そんな華子に、太朗が声をかけた。
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