タロくんとハナちゃん
太朗と理一郎が病院に着くと、俊彦や仲間達が待合室にいた。

「俊彦」

「あ!タロさん、理一郎さん!」

「ハナちゃんは?」

「今、点滴中です。
点滴が終わったら、帰って大丈夫だそうです!」

「そうか…」
理一郎が安心したように息を吐く。

「良かったぁ…」
太朗も、ホッと肩を撫で下ろした。


ちょうどそこに、処置室のドアが開いた。

「━━━━ありがとうございました」
華子の声がして、出てきた。

「ハナちゃん!!」
タタタッと、太朗が華子の方に駆けていく。

「え?あ…タロくん!?」

「はぁ…良かった…ほんと、良かった……!」
きつく抱き締め、噛み締めるように言葉を吐く太朗。
「……っ…タロくん…!!」
華子も、しがみつくように抱きついた。


病院の駐車場に向かう、太朗達。

「…………あ、あの!!」
華子が、太朗達に向かって声を張り上げた。

「ん?ハナちゃん?」
「どうした?ハナ」
「ハナちゃん?」

「ごめんなさい!」
深く頭を下げ、謝罪をする華子。

「どうして謝るの?
謝るのは、僕の方だよ?
ごめんね、ハナちゃん。
ずっと傍にいて守るって言ったのに、危険な目に遭わせて……
もう、絶対!こんな危険な目に遭わせないから!」

「違うんです!
私が、もっと強かったらこんなことには……
理一郎くんや俊彦くん達にも、沢山ご迷惑かけました。
ごめんなさい!」

「ハナ」

「え?」

「お前はタロの女であると同時に、俺達の仲間だ」

「え?」

「だから、ハナちゃんを守るのは当たり前のことだよ!」

理一郎と俊彦が、微笑み言った。

「理一郎くん、俊彦くん…」

「仲間なんだから、迷惑なんかじゃないよ!」
「だからもっと、俺達を頼っていいんだよ?」

「皆さん……ありがとうございます!」



「━━━━はい、ハナちゃん!」
ヘルメットを渡す、太朗。

それを受け取り、華子は太朗を見上げ微笑んだ。
「はい!」

「フフ…帰ろ?
帰って、いっぱいラブラブしようね!」
「はい/////」

バイクに跨がり、太朗の背中にしがみつく。
太朗の背中の温かさが、浸透するように華子を幸せな気持ちにさせる。


「ハナちゃん、しっかり掴まっててね!」

腹の辺りにある華子の手をポンポンと叩いて、太朗は発進させた。
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