タロくんとハナちゃん
そこに、太朗のスマホが震えるバイブ音が響いた。

片手でスマホを取り、操作する。
丸雄からのメッセージが入っていた。

【完了☆
もう、大丈夫だよ!】

フッ!と笑って【ありがと】と返信した。

「会わせるわけないじゃん。
ハナちゃんは、僕のモノなのに!
何のために同棲したと思ってんの?
もう…片時も離すつもりないからね。
心も、身体も……!」

それからもしばらく頭を撫でたり、頬や額、口唇にキスをしたりしてると、いつの間にか太朗も眠ってしまっていた。


夜が明け━━━━━カーテンから日が漏れる。
華子のスマホから、アラーム音が鳴り響く。

ごそごそと華子が動き、目を覚ました。
アラームを切り、太朗を見上げる。

「わ…綺麗な寝顔…////」
思わず呟いてしまう程、太朗の寝顔が美しい。
見惚れていると、再度アラーム音がなる。

「わわ…完全に切ってなかった……!」

今度こそ、アラーム音を切る。
そして起き上がった。

伸びていた太朗の右腕を、ゆっくりさする。
「痺れてないかな?」

そして、太朗を起こさないようにベッドを下りた。

洗面などを済ませ、キッチンに立つ。
自身が持ってきた計量器の数々などを出す。

慎重に分量を量りながら、二人分の調理をする。

「………ん!完璧!」
コトコトと、美味しそうな香りがキッチンに漂う。

火を止めて、華子は太朗を起こしに寝室に戻った。


「━━━━タロくん、タロくん!
朝ですよ。起きてください!」

肩を優しく揺すり、太朗に声をかける。
しかし、起きる気配がない。

「ど、どうしよう…」
もうそろそろ起きないと、講義に遅れる。
しかし、どうしても遠慮がちになってしまう。

「タロくん!タロくん!」
何度も呼びかけていると……

フフ…と太朗の笑い声が漏れて、手を引っ張られた。
「━━━━━ひゃっ!!?」
華子は、引っ張られるまま太朗に覆い被さる。

「フフ…ハナちゃん、おはよう!」

「あ、ごめんなさい!
すぐに離れます!」
慌てて離れそうとする。

「ダーメ!
抱き締めさせて?
ハナちゃんが戻ってくるの、ずっと待ってたんだから!」

「でも…重くないですか?」

「重くないよ。大丈夫だから、このまま!ね?」

「は、はい」

しばらく抱き締めて、太朗が華子を見上げて言う。
「ハーナちゃん!
おはようのキスして?」

すると華子は、顔を赤くして「はい/////」と言って、太朗の口唇に押し当てるように重ねた。
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