タロくんとハナちゃん
狂おしい想い
「━━━━━ハナちゃん。
僕の気持ち、全く伝わってないみたいだね……」
少し、切なそうな太朗の表情(かお)


「え?」

「僕の頭の中見たら、ハナちゃん退くだろうなぁー」

「え?え?」

「僕はハナちゃんが好き!大好き!
言葉通り、一生愛してる。
ハナちゃんしかいらないくらい、好き。
だから、ずーっとくっついてたい。
二人っきりになって、くっついて、キスして、繋がってたい。
僕は、ハナちゃんと離れたくないの。単純に。
だからハナちゃんと二人で籠りたい!ハナちゃんを閉じ込めたい!
ほんとは誰の目にも触れさせたくない!
だからホテルに行きたいの。
ハナちゃんの目に僕しか映らなきゃいいのにとか、僕の声しか聞けなくなればいいのにとか、頭の中も僕の事しか考えられなくなればいいのにとか、どうしようもないことばっか考えてる。
僕の頭の中は、常にイカれてるの!」

「タロくん…」
(タロくんも、同じなのかな?
好きすぎて、どうしていいかわからなくて、苦しくて不安が募る。
だから、小さなことで嫉妬してしまう……)

「ごめんね。変なこと言って……
んー、どこ行こうか?
ランチには早いし……」
太朗は、いつものように優しく微笑んだ。

「……あ、だったら…水族館はどうですか?」
華子は、できる限り元気よく言った。

「あー、先々月出来たブースがあるとこ?」

「はい!
カップルに人気って、この前もネットで取り上げられてました!」

「ん!じゃあ、行こー!」
微笑み華子に、太朗も嬉しそうに微笑んだ。



水族館に着き━━━━━
早速、人気のブースに向かう。

━━━━海の中にいるみたいに水槽に囲まれた空間。
そして二人掛けのソファが所々に設置してある。

照明も薄暗く、今カップルに人気のブースだ。

「綺麗ですね…/////」
水槽内がキラキラしていて、その中を魚達が優雅に気持ち良さそうに泳いでいる。

「ハナちゃん、ソファあいてる。
座ろう?」
「はい!」

二人掛けのソファと言っても、少し小ぶりなソファでぴったりくっついて座る。

太朗が華子の腰を抱いた。

そして水槽を見上げた。

「確かに、綺麗だね!海の中にいるみたい!」
「はい////」

華子は、そっと太朗の横顔を見上げた。

「綺麗…/////」
思わず、呟く。

水槽内のブルーが太朗を淡く照らし、妖しくて綺麗だ。

“キス、したい”
華子は、そんなことを考えていた。
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