卒業証書は渡せない
エピローグ

60.ねぇ──

 ねぇ──。
 あれからもう3年経っちゃったんだね。


 高校を卒業して、大学生になって、成人式も終わったよ。私は相変わらず彼氏いなくて、できそうにもなくて、大学とバイトとサークルの往復。試験前なんか、バイトしてる余裕ないよ。朝の電車も、通勤ラッシュと一緒だし、辛い。


 ねぇ、奈緒──。
 また私、弘樹の誘いを断っちゃったよ。


 弘樹が一番好きだったのは奈緒だ、って信じてるよ。ずっと落ち込んでたし、今も写真を持ち歩いてくれてるし。他の子が彼女になろうとしてたけど、全部断ってたし。もちろん、忘れられない、って言ってたし。


 ねぇ、奈緒、帰ってきて──。
 ずっとみんな一緒だったのに、私いま1人だよ。


 今の私と弘樹の関係、奈緒は知ってるのかな。弘樹が、好きって言ってくれてるのに。私も、好きなのに。弘樹は奈緒の彼氏だったから、応えられないよ。奈緒のものは奪えないよ。私、どうしたらいいのかな。


 ねぇ、奈緒、帰ってきて、いろんな話をしようよ。

 2人だけの、想い出の場所で──。
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