ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
テーブルにたくさんの軽食と飲み物がのっているのを見て、申し訳なさそうに立ち上がった。
「いや、いいよ。こちらこそ素敵な演奏を聴かせてもらった」
「この間、オペラのチケット代はピアノを弾いてもらうって言ってたわよね。何を聴きたい?……どうしたの、黎さん」
黎は彼女に見とれて黙っていた。夜景をバックに立つ百合はとても綺麗で引き寄せられるように彼女へ近づいて耳元で囁いた。
「君は綺麗だね……夜景が君の美しさを引き立てているようだ。白いピアノが君のイメージと合う」
「……やだ、黎さん」
百合は真っ赤になって、立ち尽くした。手を差し伸べると彼女も手を出してきた。
黎は椅子までエスコートした。テーブルを挟んで座った。ワインを開けて、グラスを持って乾杯した。