ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない
「え?!」
百合は驚いて紗江子を見た。黎に目元がそっくりな美しい透明感のある女性だ。
「素晴らしかったわ。本当はその時にご挨拶したかったけど、黎から紹介される前だったから我慢したのよ。褒めてちょうだいね」
ウインクする可愛らしい姿に、百合はこんな素敵な女性がいるのかと驚いた。自分の母にはなかった何というかやはりお嬢様育ちの清らかな雰囲気がある。
「何だと?紗江子お前、パリに行けるくらい元気になったのなら、何故帰国しないんだ。俺がいるのを忘れたんじゃあるまいな?」
「あら。あなたこそ、私がいるのを忘れていたんじゃないの?最近全く連絡がないし……また、どなたか私の代わりがいるのかと遠慮していたのよ」