麗しの香道家は、傷心令嬢を甘く溺愛して離さない。
◇神前式
――そして、冒頭へ戻る。プロポーズされてから今日まで半年かかった。
両家への挨拶と顔合わせに結婚式について、結婚指輪も一緒に考え、結婚式はどのような感じにするのかも話し合いを重ねて……
何度見ても、どんな和服を着ていても麗しく綺麗な顔立ちの彼は本当に素敵だ。宗一郎さんは、佐山家の家紋が入ったグレージュの受け継がれている紋付きに遠目だとただのグレーに見えるが白黒のしま模様の袴を着ている
一方、私はというと……オレンジ、赤、ゴールド、緑などの多種多彩なカラーを織り交ぜた絶妙な配色に古典柄の刺繍が伝統的でありながら個性も放つ色打ち掛け。半襟はゴールド刺繍が入っていて草履もゴールドだ。髪型はボリュームを持たせたアップスタイルで顔を縦長に見せるために髪をかきあげるようにナチュラル感を大切にした……らしい。美容師さんがそう、言っていた。