麗しの香道家は、傷心令嬢を甘く溺愛して離さない。
◇たからもの
少しずつ冷え込む気温になってきた十月下旬に入った。
私は色々な人に助けてもらいながら、充実したマタニティライフを過ごせていて早いもので臨月となった。
「……すごい、もう赤ちゃんじゃん」
「赤ちゃんだもん、当たり前でしょ?」
エコー写真を見ながら、エコーをしてもらってる時のことを思い出した。お腹の中に本当にいるんだなと思ったら、なんだか自分ってすごいと思えてきていた。
「でも、こんなに大きい子がいるってお腹めちゃくちゃ重いよね」
「まぁ、それなりに?」
「それなりにって……あ、そうだ。お義母さんからベビーベッドが送られてきたよ」