【電子書籍化予定】麗しの香道家は、傷心令嬢を甘く溺愛して離さない。



「なら、一緒に行かない? 私は招待されてるんだけど、友達も連れてきていいって言ってくれたから」

「そうなんだ……でも――」


 今回は断ろうと思ったんだけど「いいじゃん」と後ろから声が聞こえた。


「お、お兄ちゃん」

「あれから外に行ってないんだからいい機会じゃん。それに郁美ちゃんと一緒なら俺も安心だよ」

「そうだけど……」

「じゃあ、この機会に着物仕立てようか。一ヶ月もあればできるよ」


 私はお兄ちゃんの「行ってこい」と言う圧力に負けて頷いてしまった。

 そうして、茶席に行くことが決まった私は好きな反物選べとお兄ちゃんに言われて……一ヶ月後には着物が無事に出来上がっていた。




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