麗しの香道家は、傷心令嬢を甘く溺愛して離さない。
第2章
◇香道体験教室
あれから数日後。私と郁美は日にちを確認して、念のため連絡を入れてから有給を取ると、香道体験教室に向かった。
「付き合ってくれてありがとね、郁美」
「全然そんなこと気にしないでよ。私も楽しみだし」
今日はお茶会みたいなしっかりとした格好ではなく、鶯色で薔薇やコスモスなどの色々な花の刺繍が落ち着いた訪問着を私は着ていて郁美は清楚な感じのワンピースだ。
「白の靴下、これでよかったよね」
「うん。いいと思うよ」
チラシにも口頭でも『白の靴下または足袋』と書かれていたから一応確認だ。私は着物なので足袋を履いているためそれは大丈夫だ。
地図通りに歩き、目的地に到着すると【佐山流香道会】と書かれている年季の入っている木の板が掲げられていた。