【電子書籍化予定】麗しの香道家は、傷心令嬢を甘く溺愛して離さない。



「ここだね、インターホン押せばいいのかな」

「うん、だと思う……」



 私は門の横についているインターホンを押すと「はーい。どなた様でしょうか」と声が聞こえたので私は「体験教室に予約させていただいた榊原と申します」とマイクに向かって言った。


「……こちらが控え室になります。じきに國宗が来ますので、お待ちくださいませ」

「わかりました。ありがとうございます」


 控え室に案内された私たちはどこに座ればいいのか分からず隅っこに座った。
 だが、数分も経たず「体験教室の方、移動をお願いします」と言われてまた案内されて今度は長いテーブルのある和室に通されて空いている席に座った。

 座ったテーブルにはレジュメが置いてありタイトルに【香道の世界へようこそ】と書かれていた。ペラペラとめくると、香道とは?というページから始まって香道で使う道具などが写真付きで説明されていてわかりやすい。これも國宗先生が作ったのだろうか……

 すると襖が開いて男性が入ってくる。その人は以前会った國宗先生だった。


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