【電子書籍化予定】麗しの香道家は、傷心令嬢を甘く溺愛して離さない。



 國宗先生は外まで見送ってくださって私は軽くお辞儀をすると「失礼します」と言い歩き出す。


「榊原さん、お着物似合ってますね」

「……えっ」

「す、すみません。この前のお着物も似合っていたのですが今日も綺麗だなって思いました。……で、ではお気をつけて」



 彼は恥ずかしそうに顔を背け、急いで中に入っていった。その表情に私は、あんな表情もするんだ……と思い、ふふッと思わず笑みが溢れた。

 家への道のりを私は、両親にどうやって教室に通いたいという気持ちを伝えようか帰りながら考え始めていた。





 
  
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