【電子書籍化予定】麗しの香道家は、傷心令嬢を甘く溺愛して離さない。
私は決意をして入会案内と書かれているパンフレットを持って部屋を出た。今日はお店が定休日だから両親共にリビングにいるはずだと思い、リビングに向かう。
考えた通り、リビングから両親だけではなくお兄ちゃんと小夜さんの声が聞こえてきて緊張がマックスになる。
深呼吸をして、ドアを開けて中に入った。
「英那、どうしたんだ?」
すぐに私に気がついたのは、お兄ちゃんだ。
「あのね、話があって……聞いてもらえる?」
「うん。どうしたんだ? まぁ、座りなさい」
そうお父さんが言うと、小夜さんは立ち上がり「英那ちゃんのお茶淹れてきますね」と告げキッチンの方へ行ってしまった。私は両親と向き合い座る。
「……俺はいないほうがいい?」
「お兄ちゃんも、いて」
「そうか。じゃあ、隣で聞くわ」
お兄ちゃんは、瑠樹さんとの付き合いを認め結婚も賛成したことを今でも悔いていて……婚約破棄してきたことを伝えた時も私に謝っていた。だからそのこともあってこの場に居ていいのか分からなかったんだろうと思う。けど、私はいてほしい。お兄ちゃんも聞いて欲しかった。