エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
 素直に嬉しかった。料理を美味しいと褒められ、菜那のことを気づかい、自分の苦手な掃除をしてくれた心遣いも。


「今日の料理も楽しみにしてます」


「はい。頑張ります」


「じゃあ、俺はいつも通り仕事をしてますので、何かあれば言ってくださいね。頼まれていた食材は全て冷蔵庫に入っています」


 蒼司が両面開きの冷蔵庫開ける。菜那も一緒になって中身を覗くと事前に頼んであった食材が頼んでいた量より多く入っていた。きっとこれも蒼司の気づかいかもしれない。足りなくなるより多い方がいいと思ったのかもしれない。まだ全然蒼司のことを知らないはずなのになぜかそう思えてしまう。


「たくさん作れそうです。事前に買い物していただきありがとうございました」


 ぱたんと冷蔵庫を閉めた蒼司は菜那の頭に手を伸ばし、ゆっくりと撫でおろした。


「菜那さんと一緒にスーパーに買い物に行くのも楽しくてよかったんですが、出来れば二人っきりがいいなと思った俺の下心ですよ」

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