偽恋人の恋愛事情
「え?」
視界から壇さんの姿が消えていた
楓くんも訳が分からず振り向く
と、なぜか地面に座り込んでいたのは…壇さんだった
頬を抑えて目をまん丸にしている
な、なに?
「…ええ加減にせえよ」
…へ?
ものすごいドスの効いた関西弁が聞こえる
「いつまでゴタゴタ言っとんのや、クソ親父」
……
は、は、
春正…さん?
「おめーさっき雪音さんのこと材料言うたよな…舐めとんのか?あ"ぁ?」
拳を握りしめたまま、鋭い目を壇さんに向ける春正さん
どうやら彼が殴り飛ばしたようだ
信じられない光景に思わず口を開く
「いつまでも身勝手言うとんのとちゃうぞ…いてこますぞクソが」
……あ…が…
「ただでさえこっちの勝手なお見合いに来てくれはったんや。そんな客人に向かって材料?頭沸いとんのか?」
そういえば…京都出身って言ってたっけ…
いや…でも
人、変わりすぎじゃない?
「雪音さんが怯えてんの分からんのんか?なァ…おい!」
…春正さん
お母さんに似たって言ってたけど
しっかりヤクザの血…受け継いでますね……