深町山の秘密
「大丈夫大丈夫!ちょっと頂上を見て、パッと帰れば問題ないよ!」

恭介がそう言い、真の腕を掴んで歩き出す。戸惑っている真の背中を渉は押し、深町山へと進んでいく。

「もしかしたら、頂上にすごいお宝があるかもしれないな!例えば徳川埋蔵金とか!」

四人の小学生は、舗装された山道をどんどん歩いて行った。



渉たちが右を見ても左を見ても、そこに広がるのは杉かヒノキである。杉とヒノキの間に時々広葉樹が植えられており、真に渉は教える。

「夏になると、あの広葉樹にでっかいカブトムシやクワガタが止まるんだ。夏になったら虫取り教えてやるよ」

「カブトムシやクワガタ、こんなところで止まってるの?」

ジッと真は木を見つめる。大都会では大きなカブトムシやクワガタを野生で見ることはまず不可能だろう。

「カブトムシやクワガタなんて、この辺りじゃ珍しくもないよ。夏になったら当たり前にそこら辺にいるんだし」
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