【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!


 いい人だからこそ、不安になるのはまた事実だ。

「でもカオルくんなら、ミクのこと大切にしてくれそうだよね。 カオルくんがそこまでミクのこと想ってるなんて、素敵じゃない?」

「そうかな……?」

 グラスを手に持つ私の手は、少しだけ震えている。

「いいじゃない。飛び込んでみれば」

「えっ……?」

 エリナは私に「遠慮なく飛び込んでみたら?何か変わるかもしれないよ、色々と」と微笑みを浮かべる。

「飛び込んでみても、いいのかな」

「いいよ。そう言ってくれてるんだから、飛び込みなさいよ!」

 エリナの言葉に、私はまた少しだけ救われた気がした。
 だからこそ、飛び込んでみようと思った。 カオルのことをいつか、愛おしいと思えるようになりたいから。
 
 私が好きな人は、もう姉の旦那さんだ。だからこそ私には、カオルという婚約者がいて、その腕の中に飛び込めることが出来るんだ。
 カオルという大きな存在が、私を動かしている。 だからこそ私は、カオルとの人生を歩みだす権利がある。

 こんなに私を想ってくれるのは、やっぱりカオルしかいないんだ。 カオルは私の全てを受け入れてくれている。
 だったら私も、カオルの所へ逃げてみよう。
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