僕の欲しい君の薬指


「榛名…さん?」



部屋の扉が並ぶ廊下に溶けた私の声に反応する様に、二人が会話を中断してこちらに顔を向けた。全く状況が呑み込めずに酷く動揺している私と同じで、銀髪を揺らしたその人の目はこれでもかと云う程に見開かれていた。

















































「月弓?」


私の名前を呼んだのは天糸君の中性的で甘い声ではなく、低くて艶のある榛名さんのそれだった。


< 155 / 305 >

この作品をシェア

pagetop