僕の欲しい君の薬指



「嫌」

「月弓ちゃんに拒否権があると思ってるの?」



クスクスと肩を揺らす彼の変わりように頭の処理が追いつかない。右へ左へ顔を動かして彼を避け様と試みても、相手の手にあっさりと頬を捕獲される。


全然力が敵わない。碌な抵抗を見せられない非力な自分に苛立ちが募る。悔しくて悔しくて奥歯を噛み締めるけれど、飽きもせずに涙は枯れる事無くポロポロ流れていく。



「愛してるよ」

「や…めて…」

「どれだけ月弓ちゃんが抗っても、僕は地の果てまで月弓ちゃんを愛すよ」

「やめてよ…」

「だから月弓ちゃんは、僕を愛する以外道はないんだよ」

「やめてよ、天糸君。だって私達…私達……」






































従姉弟(いとこ)なんだよ”


顔を濡らして噎び泣き、自分が年上だと云う事も忘れて訴えた心の叫びも…。



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