『愛獣』放埓な副社長は堅固な秘書を攻め落とす

「俺は確信してたけどな」
「確信ですか?」
「あぁ」
「……どうして分かるんですか?」
「どうしてって、最後までしてないから」
「………へ?」
「だから、あの女に限らず、もう三年?いや、四年近いか……。最後までしてないから」
「……どうして?……って、聞くのは失礼ですよね、すみません。デリカシーが無くて」
「いや、別に構わないよ。理由は明らかだから」
「……えっ?」

一人分あけて座っていた彼が、すぐ隣りに間を詰めて来た。
そして、ソファーの背凭れに手をつき、ゆっくりと顔を近づけて来る。

何故かは分からない。
避けようと脳内で思っているのに、体が動かない。
気付いた時には、彼の口元が私の耳元に。

「俺の前に芽依が現れて以来、お前以外、やる気にならねぇよ」
「っ……嘘ですっ、だって、何人も抱いて来たじゃないですかっ」
「……そうだな、形的には?けど、勃たせる時はお前を抱いてるのを想像してたし、芽依以外の女相手じゃED状態だから、俺」
「へ?」
「だから、お前以外、やる気にならねぇんだよ、マジで」
「………」
「八年近く片想いしてんだから、当然だろ。……責任とってくれんだよな?」
「っ……、知りませんよっ!!そんなこと言われてもっ」

耳まで真っ赤にして、芽依は両手で顔を覆った。
マジで可愛すぎ。
今すぐ食べちゃいたい。

「だから、俺と結婚して」
「無理ですっ!」
「何で?……俺のが、一生使いものならなくなったら、どう責任取んの?」
「知りませんよっ」
「じゃあ、何で俺じゃダメなの?顔だけ?整形したら、結婚してくれんの?」
「はい~っ?!」

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