『愛獣』放埓な副社長は堅固な秘書を攻め落とす
責任とって下さいますよね?

彼女と契約を交わした夜。
彼女が入浴している間に、彼女と同棲することになったと父親に報告した。
毎日のようにハウスキーピングのスタッフが家に入っているため、情報が漏れないようにするのが目的だ。

父親には結婚の意思を伝えてあるから、特段驚いた様子はない。
後は運転手の井上をどうかわすか……。

芽依のことだから、出勤時間は今まで通り八時に間に合うように出社すると言い張るだろう。
俺の出社時刻は九時。
だから、朝に井上に会うことは無い。

問題は帰りだ。
出先からの直帰であれば、俺を先に降ろした井上が彼女のマンションへと送り届けるのが基本だが、今後は俺の家で生活するとなると、やはり井上だけは……。

契約書には、秘密保持に関しての事項がある。
だからこそ、頭を抱える。
恐らく、自宅マンションに一旦帰宅してから、俺のマンションへと来るつもりだろう。
会社から退社するとしても、俺とは別々で帰ると言い張るはず。
まぁ、契約不履行になるよりはマシか。

一番のネックは、如月の両親の許可を得るということ。
一応、策は練っている。
まだ完全に練り上げたわけではないから、それを一日も早く纏め上げねばならない。

「お風呂頂きました」

洗面所で髪も乾かして来たようで、さらりとストレートの髪がふわっと靡く。

「一応、確認しておきたいんだけど、井上にも秘密ってことだよな?」
「……はい」
「出先からの直帰となると、一旦ここに俺を降ろして、その後に芽依のマンションに向かうだろ」
「はい」
「それから、芽依はここに来るってことだよな?」
「そうなりますね」
「特例で、井上にだけってのはダメか?父親から話つけて貰うことも出来るし」
「……結婚の許可が得られるまでは特例も無しでお願いします」
「徹底してるな」
「申し訳ありません」

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