うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
***

『ラブちゃん!』

 久しぶりのバトルフィールド。
 クラスのプレイヤー志望の子と、練習試合として《シング・バトル》をしていた。

 私の呼びかけに、ラブちゃんは月色の大鎌を振り上げる。
 相手の防御を打ち負かして、少ないけれど確実にHPを減らした。

『やるわね、金井さん。次は私の攻撃よ!』

 流石はプレイヤー志望と言うべきか。
 ラブちゃんに攻撃されても藤子ちゃんみたいに驚かない。
 彼女はすぐに切り替えて、攻撃のための歌を歌う。


 夢の道 突き進もう
 殻を破って チェンジ!
 走り続けて かじりつけ


「っ! 創作歌? 【チェンジ】って、メタモルフォーゼするの⁉」

 やっぱりプレイヤー志望の人はみんな歌うまいなぁとちょっと聞き惚れていたら、まさかのワードに本気で驚く。

 攻撃のキーワードは【かじりつけ】、【チェンジ】はメタモルフォーゼのキーワードだ。

 歌が終わると彼女の“うたアニ”であるハムスターが動き出した。
 小さな体でグルグルと回りながら走り出し、土煙が舞う。
 その土煙が払われると――そこには変わらず小さくてかわいいハムスターがいた。

「あ……」
『やだー! 失敗しちゃったー!』

 ヘッドホンから悲鳴に近い叫びが聞こえる。
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