うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
 帽子をかぶっている理由と一緒に、帽子が目立つことも指摘されなくなったから忘れちゃってたよ。

「もしかしてこの帽子より目立つものを隠してる、とか?」
「っ⁉」

 言い当てられて思わず息をのむ。
 そこまで突っ込んでくる人はいなかったから、まさか今になって聞いて来る人が現れるとは思わなかった。

 なに? 横山くんは私をどうしたいの?

 警戒心が湧いて、帽子のふちを掴む手にギュッと力を込める。

 まさかとは思うけど、ここで帽子取れとか言わないよね?って思ったんだけど……。

「あのさ、俺いま金髪の女の子探してるんだ。ちょっと帽子取ってみてくれねぇ?」
「っ⁉」

 まさかが現実になった。
 しかも金髪って、ほぼ言い当てられてるんだけど⁉

「いえ、その……でも金髪の女の子は他にもいるし……」

 暗に他の子じゃないかな?って言ったけれど、横山くんは首を横に振った。

「一年から三年まで一通り金髪の人に当たってみたけど、俺が探してた子じゃないんだよな。一応高等部も当たってみたけど、違ってたし」
「……そう、なんだ?」

 なんだか雲行きが怪しくなってきて、思わず後退りする。
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