うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
 全生徒に当たってみて違ってたって言うなら、横山くんの探してる子が私の可能性は高いかもしれない。
 でも横山くんの前で帽子を取ったことなんてないから、やっぱり私じゃないと思う。

 だから……。

「だからさ、ちょっと帽子取ってみてくれねぇかな?」
「っ! ごめんなさいっ! でも多分横山くんの探してる人は私じゃないから!」

 横山くんのお願いを断ると、私は彼に背を向けて走り出した。
 少なくともこんなに人がいるところでなんて脱げないよ!

「え? ちょっ、待ってくれよ!」
「お、追いかけて来ないでー!」

 ちゃんと違うって言ったのに追いかけて来る横山くん。
 帽子を取られそうな勢いに私は逃げ続けるしかなかった。

「待てって! 一回見せてくれるだけでいいからさぁ!」
「だから、絶対私じゃないからー!」

 もう!
 なんでこんなことになっちゃったの⁉

 私は横山くんを()けるまで、学園内を走り回ることになった。
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