うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
***

「流歌!」

 教室に戻る途中、千代ちゃんたち三人が心配そうな表情で近づいてきた。
 私の今の状態を知っているからこそ、本気で心配させちゃってるみたい。

 それを嬉しいと思う反面、心配させてしまってごめんね、とも思う。

「大丈夫?」
「流歌、目立つの苦手なんだよね?」

 千代ちゃんと千絵ちゃんに聞かれて、小さく笑う。

「うん……」

 私自身どうすればいいのかわからなくて、あいまいに答えることしか出来ない。
 決勝まで残れるかなんて分からないし、トーナメント自体への参加意欲は変わらない。
 でも、優勝を目指したいのかどうかがわからなくなった。

 私、どうしたいんだろう……?

 三人に何を言えばいいのかも思いつかないでいると、藤子ちゃんが眉尻を上げてハッキリ聞いてきた。

「まどろっこしいのは嫌だからぶっちゃけて聞くね? 流歌はどうしたい? 頑張って優勝目指す? 目立ちたく無いから準決勝出場までにしたい?」
「っ!」

 本当にぶっちゃけてる。
 遠慮なんてかけらもない。
 さすが猪突猛進と書いて吉岡藤子と読む女の子!

 でも、今はそれがありがたかった。
 ハッキリ言ってくれたおかげで、私も正直に言える。
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