うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
 でも、どこまでも守ってくれるという雄翔くんに期待が膨らんだ。
 友だち以上だって思える確かな言葉が聞けるんじゃないかって期待した。

「だって流歌は……」

 答えようとした雄翔くんは途中で一度止めると、少し目を逸らして鼻先をちょいとかく。
 その後で改めて私を見た彼は明らかに照れ臭そうだった。

「流歌はさ……俺にとって、大事な女の子だから。大事で、特別な子」

 ドキンッ

 照れ臭そうにしながらも伝えてくれた言葉に心臓が大きく跳ねる。
 さっき以上に心音が早くなった。

「流歌は?」
「っぅえ⁉」

 ドキドキしすぎていたのと、まさか聞き返されるとは思わなかったのとで変な声が出ちゃった。
 恥ずかしい。

「流歌は……俺のことどう思ってる? 守って欲しいなんて言ってないのに盾になるとか言って、迷惑だとか思ってないか?」
「え? 迷惑だなんて思ってないよ⁉」

 さらに思っていなかったことを聞かれて思わず大きな声が出る。
 そのままジッと見られて、答えないわけにはいかない状態になった。
< 142 / 181 >

この作品をシェア

pagetop