うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
「ちゃんと俺が盾になって守るから」
「え……?」
「陽向のことだけじゃなくさ、流歌が嫌だって思うことからも守りたい。本田たちが流歌の背中を押したっていうなら、俺はその後の心配事をはねのけてやる」

 確かな意志を持つ、力強い真剣な言葉。
 まさにナイトな雄翔くんに、私は自分がお姫様にでもなったような錯覚をしちゃう。

 ドキドキって、鼓動が早くなる。

「あ、りがと……」

 お礼の言葉も途切れちゃうくらい胸がいっぱいで、体温が上がってきちゃう。
 顔が真っ赤になりそうな予感に、私は熱を誤魔化すように話した。

「でもそこまでしてくれるなんて……私雄翔くんにはいっぱいお世話になっちゃってるよ」
「いいんだよ。俺がそうしたいんだから」

 熱いのを誤魔化そうとしたのに、自然と返って来た雄翔くんの答えに更に熱が上がっちゃった。
 ドキドキって心音が鳴りやまない。
 だからついに聞いちゃったんだ。

「雄翔くんはどうしてそこまで私によくしてくれるの?」

 って。

 聞きたくても聞けなかったその理由。
 ちゃんと眠れるように協力したってだけにしては色んなことを助けてくれる雄翔くん。
 過剰なほどの親切には、やっぱり期待してしまう。

 そこには特別な好意があるんじゃないかって。

 違っていたら恥ずかしいし、雄翔くんの特別は私じゃないってことになるから気分が落ち込む。
 だから聞けなかった。
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