うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
 私、何考えてるんだろう。

 最推しの雄翔くんと隣の席になれて、話しかけられて……浮かれすぎちゃったのかな?
 ちょっと落ち着こう。

 私は小さくため息をついてズレた眼鏡を戻すと、落ち着くためにトイレへと立ち上がった。


 ――そうして戻って来てから、私はまた途方に暮れる。

 ……どうしよう。

 雄翔くんの周りにはさっき以上に人が集まっていて、彼の周りの席は埋もれてしまっていた。
 つまり、私の席も他の子に座られている状態で……。

「……自分の席に戻れないよ」

 教室のドアの辺りでポツリと呟いた。
 そのままどうにもできなくて突っ立っていると、「ねえ、そこのうさ耳帽子の子」と呼ばれる。
 見ると、後ろの方の席に座る二人の女の子が私を見て手招きしていた。

「えっと、私?」
「うん、そうあなた。こっち来て話そうよ」

 確認すると頷かれたので、お言葉に甘えて彼女たちの方へ行く。

 確かさっきの自己紹介で双子だって言ってたっけ。
 二卵性だからそっくりって程じゃないけれど、個別に見たらどっちがどっちかちょっと分からないかも。
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