うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
「何って……綺麗だしかわいいし歌声も優しいし。性格だって良いに決まってる! 一目惚れしたんだよ、あの子に」
「っ! なっ⁉」

 確かに流歌は性格も悪くないと思う。
 会ってからまだ二日だけど、いい子かどうかは多少は分かるし。

「何だよ、もしかして雄翔もあの子狙いなのか? でも負けねぇぞ? 俺が先にあの子見つけて彼女になってもらうからな!」

 ハッキリ宣言する陽向の頭をこれほど叩きたいって思ったのは初めてかもしれない。

 流歌が陽向の彼女に?
 冗談じゃない!
 流歌は俺が先に見つけたんだ!

「じゃあ誰が先に見つけられるか勝負ってところかな? 先に見つけた人から彼女に交際を申し込むということで」
「なっ⁉」

 陽向への怒りに似た感情を心の中で爆発させていると、翼先輩がとんでもないことを言い始めた。

 こ、交際を申し込むって……付き合ってくれって言うのか?
 いや、その前に好きだって告白するのか?

 え? 俺、流歌のこと好きなのか?

 陽向と翼先輩の言葉に心が振り回されてついて行けない。
 でも、そうしてる間にも話は進んでいく。
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