うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
吉岡さんが私に何かしたわけじゃない。
私が彼女を苦手なのは、苦手だった小学校の頃の友達に似ているから。
その友達と吉岡さんは違うって分かっているけれど、似ている部分を見つけてしまってからはどうしても苦手意識がぬぐえなかった。
「何でまた何も言えないのよ?」
黙り込んでしまった私に吉岡さんの機嫌が更に悪くなる。
「吉岡、それくらいにしとけよ。不機嫌そうに聞かれたら誰だって委縮するだろ?」
「そうそう。ほら、金井のことは気にすんなって」
近くにいた雄翔くんと他の男子も私をかばってくれたけれど、吉岡さんの機嫌は良くなるどころか悪くなる一方だ。
「不機嫌になる前から話せてないじゃない! 金井さん、あなたプレイヤー志望なんでしょう? そんなんで本当に歌えるの?」
「うた、えるよ」
何か言わなきゃと焦って、とりあえずひと言だけ返事をする。
「じゃあ歌って見せてよ。話せなくてもちゃんと歌えるって」
「そ、れは……」
動揺して、視線がぐるぐる動く。
今ここでなんて歌えない……人前で歌うのは、怖い。
『流歌は人前じゃあ歌えないんだもんね?』
何度も聞いた声が頭の中に響く。
それは呪いみたいに喉にからみついて、声が出ない。
私が彼女を苦手なのは、苦手だった小学校の頃の友達に似ているから。
その友達と吉岡さんは違うって分かっているけれど、似ている部分を見つけてしまってからはどうしても苦手意識がぬぐえなかった。
「何でまた何も言えないのよ?」
黙り込んでしまった私に吉岡さんの機嫌が更に悪くなる。
「吉岡、それくらいにしとけよ。不機嫌そうに聞かれたら誰だって委縮するだろ?」
「そうそう。ほら、金井のことは気にすんなって」
近くにいた雄翔くんと他の男子も私をかばってくれたけれど、吉岡さんの機嫌は良くなるどころか悪くなる一方だ。
「不機嫌になる前から話せてないじゃない! 金井さん、あなたプレイヤー志望なんでしょう? そんなんで本当に歌えるの?」
「うた、えるよ」
何か言わなきゃと焦って、とりあえずひと言だけ返事をする。
「じゃあ歌って見せてよ。話せなくてもちゃんと歌えるって」
「そ、れは……」
動揺して、視線がぐるぐる動く。
今ここでなんて歌えない……人前で歌うのは、怖い。
『流歌は人前じゃあ歌えないんだもんね?』
何度も聞いた声が頭の中に響く。
それは呪いみたいに喉にからみついて、声が出ない。