うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
「お兄ちゃんが作ってくれたエフェクトを見て感動したみたいで……話を聞きたいんだって」
「へえ、それは嬉しいな。で? 具体的には何を聞きたいんだ?」

 感動したとまで言われたら悪い気はしないよね。
 お兄ちゃんは嬉しそうに藤子ちゃんに話しかけた。

「……」

 でも、藤子ちゃんはお兄ちゃんを見つめたままボーっとしてる。
 どうしたんだろう?

「えっと……吉岡さん?」
「あっ! は、はい! えっと、そのですね……」

 お兄ちゃんが名前を呼ぶと、藤子ちゃんは軽く頬を染めて話し出した。

「……」

 結構分かりやすい態度の藤子ちゃんにもしかしてって思う。
 でも確信は持てないし決めつけない方がいいよね、と思って私はランチに手を付けた。

「そういえば大地先輩と翼先輩は前も一緒にお昼食べてましたけど、仲良いんですか?」

 私が藤子ちゃんをお兄ちゃんに紹介している間に、他のメンバーは食事をしながら会話を始めていたみたい。
 千代ちゃんが鶏南蛮を箸でつまみながら問いかけていた。

「仲……うーん。悪くはないけど、僕の場合いつも大地先輩に引っ張って来られてるだけだからね」
「だってお前いつも一人じゃんか。チームメンバーと一緒に食わねぇの?」
「僕のチームは、昼はゆっくり落ちついて食べたい人が多いんですよ」

 味噌汁片手に話す中島先輩に、ため息をつく藤原先輩。
 そんな二人に苦笑いを向けながら千絵ちゃんが話す。
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