うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
 カッコ悪くなんかない。
 でも、力のない笑顔は見ているこっちまで辛くなっちゃう。

「多分俺さ、プレシャーになってるんだ。声変りが落ち着いたら周囲の環境が急激に変わって」
「雄翔くん……」

 話しながら座って、とうながされる。
 私は隣に座りながら雄翔くんの話を聞いた。

「良い声してるって言われて、《S-JIN》のメンバーに残れるってなったまでは良かった。……でも、メンバーの中でも人気が上がって、どんどん有名になっていって……」

 声のおかげでここまでこれたから、それを失ったら?って思うと怖くなるんだと雄翔くんは言う。

「多分そのせいで悪夢ばかり見るんだ」

 情けないよな、と笑う雄翔くんに「そんなことないよ」としか言えなかった。
 雄翔くんが感じているプレッシャーがどれほどのものか、私には想像することしか出来ない。
 それでも、一般人とは比べ物にならないほどの圧だってことは分かる。

 《S-JIN》は四人組ユニットだ。
 四神をモチーフにしてるってこともあって、四人いて成り立つアイドルユニット。
 一人でも欠けたら意味がない。
 自分の所為で他の三人にまで迷惑がかかるってことも気にしちゃう原因なんじゃないかな?
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