ストーカー気質な彼女は,甘い溺愛に囚われる。
毎日毎日飽きもせず。

見つめるとも言えない,遠くの存在を眺めるような視線。

いっそ話しかけてくれたらいいのに,君なら,ちゃんと目を合わせて話したいのに。

そんな風に思ったのは,いつからだったかな。

たまに,同じ場所に立ったままの彼女を,通りすがりに不思議そうに見る人がいる。

でも,俺と大体セットの真輝だって,誰だって。

彼女の事には気付かない。

西尾陽深(にしお ひなみ)と言う同じ学年の彼女が,隠れて,隠してるから。

でも,俺には気付かれてしまっている彼女は,何だかとても可愛い。

そんなあの子に突然,また明日ね,なんて言えないから。

明日も会えますようにって,俺は思いながら彼女を見る。
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