Cherry Blossoms〜咲き誇った花の名は〜
「アルオチさん、ありがとうございます!アルフレッド先生、オリバー先生、あとはよろしくお願いします」

桜士はそう言い、再び走り出す。ヨハンも「死ぬんじゃねぇぞ!」と三人に言い、桜士の後に続く。

アジトの中は広く、まるで迷路のような造りになっている。何度も桜士とヨハンは曲がり角を曲がり、部屋を一つ一つ確認して一花がいないかどうか確認し、飛び出してきた下っ端を制圧していった。

「一花、どこにいるんだ……」

ヨハンがそう呟いた時、桜士の視界の端に何かが地面に落ちているのを確認する。ピントを合わせれば、それは人間だった。下っ端が廊下に倒れ、気を失っている。そしてその床には、赤い血が点々と落ちていた。

「ヨハン先生、もしかしたら……」

「ああ、嫌な予感がするぜ」

血の後を桜士とヨハンは辿っていく。廊下には何人もの下っ端が気絶しており、激しい乱闘があったことを物語っていた。たった一人で、一花はこれだけの人数を相手にしたのだ。
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