Cherry Blossoms〜咲き誇った花の名は〜

だが、迷っている暇などはない。桜士は一花を離した後、真剣な顔をして言った。

「四月一日先生は部屋の奥の方にいてください。俺かヨハン先生の後ろにいてください。絶対、守りますから」

「は、はい……」

一花は桜士の指示通りに部屋の奥へと足を引きずりながら歩く。桜士とヨハンは一花に近付けさせないように前に立ち、二人を睨み付ける。

「へえ〜、かっこいいナイトだね！」

「イエティ、この二人は殺していい。だがその女だけは殺すなよ」

イエティが楽しそうに笑い、ボスが一花を殺さないように再び言う。今にも戦闘が始まってもおかしくない状態だった。その時。

「ガハッ！」

ボスが突然その場に崩れ落ちる。その体からは血が流れ落ちていた。

「は？」

状況が飲み込めていないイエティは崩れ落ちたボスを見つめていた。その時、イエティの胸元も赤く染まる。

「あっ……」

イエティの体が倒れ、桜士とヨハンは慌てて駆け寄る。二人とも銃弾が胸を貫いたようだ。