Cherry Blossoms〜咲き誇った花の名は〜

「お姫様、見っけ」

イエティが引き金に指を置くと、隣にいた男性がそれに気付き、「やめろ」とイエティを止める。

「もしも、あの女に当たったらどうする？あの女は価値のある人間だ。殺したらどうなるか、わかってるよな？」

「は〜い、ボス」

ボスなど、今まで桜士たち公安がどれだけ調べてもほとんど情報を見つけられなかった人物だ。桜士は一花を抱き締める腕に力を込め、ボスを睨み付ける。

「お前が、世界中の多くの人から未来を奪うようにした人間か！」

本田凌を捨て、公安警察の目で桜士はボスを睨み付ける。一花は桜士の口調や目が変わったことに目を見開き、桜士を見上げた。

「チッ、ようやく一花を見つけられたってのによ！」

ヨハンが悔しげに唇を噛み締める。桜士とヨハンと二人いるためイエティとボスを一人ずつ相手にすることは可能だ。だが、こちら側には怪我をした一花がいる。少し目を離した隙に人質にされかねない。